軽井沢町の庁舎建築事業費125億円~148億円という驚きの数字が浮上し、住民は驚いている。全国的に建築費高騰のために公共事業が見直されているにもかかわらず、軽井沢町はそのまま突き進もうとしている。18回に亘って開かれてきた推進委員会の委員から会のあり方や決定についての疑問点もあらわになった。
役場関係者多数の推進委員会だけで決めるのではなく、みんなで考えよう
みんなで見直し「検討会」が2025年11月29日軽井沢町中央公民館大講堂で開かれた。私もおしゃべり会やパブコメに参加していろいろ要望を言ったけど、あれから建築費が高騰して相当借金をしなくてはならない状況になっているのだから、まだ予算が決まっていない今の段階でもう一度よ~く考えようという試みは意味のあることだと思う。将来の世代に多大な借金を残すようなことはできれば避けたい。信濃毎日新聞が2回もスペースを取って記事にしてくれたから、住民の関心も高まっている。実際参加してきた推進委員の話すことからはかなり詳しいことが見えてきた。(報告:広川小夜子)

2025年11月29日の見直し検討会の報告
庁舎周辺整備事業推進委員会に公募委員となった二人の推進委員が今までの経過や問題点を報告した。二人ともこの委員会にはすべて出席している。(ちなみにこの委員24名の半分の12名が町職員、町関係者が6名、住民からの公募委員が6名。町長はほとんどいない。出てきてもすぐ退席。ずっと副町長が出席していたが、その人は退任し別の人になった)
最初にF委員が解説。Fさんは通産省認定グッドデザイン賞審査員、建築設備綜合協会環境・設備デザイン賞審査員、経産省・文科省・厚労省・外務省事業仕分け評価者など豊富な経験と知識を持つ。また空間デザイン団体と親しいので建築業界にも詳しい。
建築について事務局がABC3つの案を出し、推進委員会はB案を採用とした(A案は庁舎と公民館は別棟で新築、B案は公民館を壊して庁舎に一体化して新築、C案は庁舎は新築するが公民館はリノベーションして使用)
現在町が出しているB案の金額は125億円だが、この金額についてFさんは「125億円もかけなくてもC案でシンプルにすれば約85億円でできる。リノベーションというと貧しいイメージがあるが、ヨーロッパを見てほしい。今やScrap & Buildは否定される時代だ」と言う。スクリーンにはリノベした品の良い公共施設が幾つか映し出された。
ABC案の比較表はすべて設計側が出してきたもので一体化のB案に誘導されているのも問題だ。例えば「B案ならC案より工期が短い」というが実際は「壊さずリノベなら事業期間は短くなる」、また「駐車場がまとまっているためアクセスがしやすい」と書いてあるが実際は「建物からの距離が遠くなり冬季は寒い上に、高齢者は歩くのが負担になる」さらに一番問題なのは大きなコンクリートの建物を二つ壊す解体期間が長くなり工事車両の出入りも多くなる。そうしたことが大きく問題視されずにB案になったのはおかしい。

続いてN委員が説明。Nさんは資産管理アドバイザー歴23年、元青少年相談員、地域総合型スポーツクラブにて、ボランティア活動に従事してきた経歴を持つ。
中央公民館と老人福祉センターはレーモンド建築事務所出身の著名な建築家が建てたものであり、中央公民館はまだ65年使えるという調査結果が出ているので壊すことに反対。(リノベ可能かどうかという調査は中央公民館だけだったが、老人福祉センターも同じ建築家による設計で公民館建築の1年前に過ぎないことを考えればどちらも今後60年使用は可能と言える)。この大きな建物二つも壊すことはCO2の排出量が大きく騒音も廃棄物も大変な量になると述べた。これには参加者からも「町は町民にCO2削減を要求しているのだからまず自分たちが守らなくてはいけない」という声があがった。
F委員もN委員も18回すべて出席し熱心に意見も言ってきたが、委員会では事務局に反対する意見を言うとスルーされてきた。意見は言わせるだけで検討や議論にはなっていないことが議事録でもわかる。
財政面では、大学の財務管理や会社経営の経験者であるK氏が説明した。
この庁舎のための起債が50~70億円を予定している。基本的に補助金というのは出ない。起債50億円という場合年間の管理合計は3億円は超える試算になる。
これからも税金の使い道としては福祉子育て医療、防災、上下水道、軽井沢病院などいろいろ必要となることは目に見えている。未来への投資も必要だろう。そのためにも、暮らす町、上質な別荘地、観光地という3つの要素を上手く表現するまちづくりにはいろんな投資が必要になる。町長は125億円でも150億円でも70億円の借金を重ねて利息を払っても心配ないと言うが、それは「今の状態が続くと保証されて入れば」の話だ。しかし、今は資産管理が不十分で将来の更新費用が把握できていない。老朽化の補修方針など計画的に行われていない。こういう状況で150億円規模の庁舎改築を進めれば将来の財政圧迫の心配もある。町は全体の資産、インフラがどういう状態に置かれているかを見てそれを開示していただきたい。町全体の老朽化が見えてないので町のどこでいくら必要なのかという全体像が見えていなければ保証はされないのではないか。庁舎建て替えのことだけが個別的に議論されているが、財政の長期的にセットで考えて予算の配分を考えるべきなのだ。

写真は発表された内部見取り図 1階と2階
参加者からの意見からも疑問が
・設計に無駄がある。中庭、六角形の屋根の修繕がすごいコストになる。六角形構造では建築のメンテナンスもかかる
・御代田の役場が質素でいい。観光の建物ではないのだから。実質の使いやすい建物がいい。検討すべき。
・ちょっとおかしいなと感じています。町の借金もなるべく抑えないと、これから福祉とかいろいろな件の費用が出て来るはずです。ぜひ考え直していただきたい。
・推進委員会の選び方がおかしいんじゃないかなと思います。半分以上が役場の職員で一言も意見を言わない。公募の住民は6人だけであとは町関係の人。パブコメは賛成意見しか取り入れていない。
・欧米では庁舎にはお金をかけない。古い建物を利用して、もっと大事なところにお金をかける。
・将来世代には借金を残さないようにしたいという市町村も多いのに、この町は「将来世代の人も使うのだから負担してもらう」というのは町の姿勢としてどうなのか。
・シンプルでなるべく税金を使い過ぎずに考えるべき。いろいろな方向に税金は使ってもらいたいと思っている。話し合いをもう一度できたらなと思っています。
・町営住宅に住んでいるがお風呂がない。役場にこんなにお金をかけるより、最低限の健康を守るためにも寒い所なので住居としての機能を持たせてほしい。
・私が思っていることを静かにわかりやすく伝えて下さってありがとうございます。この方たちの意見が推進委員会で通らないって言うのが皆目見当がつかず、私たちの一般市民のただの人では意見を言っても「お前、何うるさいこと言ってんだよ」で終わっちゃうとのがよくわかりました。
・子供を3人育ててきて125億円のそんな庁舎なんてぜったいにいりません。子供たちに請求書を送りつけることになります。大学生のこどもは4年間風呂なし月1万円で暮らしています。私もアルバイトや仕事を幾つかやって税金を16万円くらい払っています。この16万円を20年務めたら320万円。子供にもっといい教育をできたと思っている。この125億円の建物は誰のための建物なんですか。それも考えずに誰かの自慢のためとか、繋がっている建築会社が儲けてそのお金どこへ行きますか?
・私は千ヶ滝の別荘民なので地区には入れず、説明会にも参加できません。でも私たちの固定資産税から莫大な金額が注がれるわけです。もう一度見直すってなっていたから、私はもう見直されたと思っていました。町政には疎くて、ちゃんやっているんだなと思っていたらぜんぜん違うことになっていて、皆さんから話を聞いてちょっと仰天しています。
・駐車場も遠いようで足の不自由なお年寄りは駐車場からゆっくり歩くから50分はかかる(冬の寒い時は大変)。いらないような森のコンサートの場(寒いし、虫に刺される)とか、それなのに、働いている職員のためのコンビニや食堂がない。
・全国で公共工事がどんどん中止されたり、見直されている中、125億円で済むとは思えません。追加予算、追加予算になっていくことは絶対明らかです。でも今ならまだ間に合います。
・パブリックコメントもおしゃべり会も何回もやりましたから、町長は皆さんの意見を取り入れたからこうなったんだと言うと思います。しかし、その頃はまだ建築高騰の話は出ていないので、皆さんカフェがほしいだのギャラリーだのイベントの出来る広場だのと言いました。じゃ、このまま行っていいのかと言うと、事情が違います。もし○〇億円が限界なのでそこを考えてからと言ったらカフェでなくて自動販売機とイスでいいと言ったかもしれません。「予算オーバーだから減らさないと」と言ったら、「庁舎は新築としても公民館はまだ60年使えるのだからリノベでいい」という意見が多かったかもしれません。現状で考えることが必要だと思います。

写真は交流センター(公民館)利用イメージ
