軽井沢町が「新施設(庁舎+公民館)のこれまでとこれから」と題したチラシを配布。また「庁舎見直しを検討する会」が「改めて立ち止まり住民と議論する場を求める署名のお願い」の活動を始めるなど庁舎の問題が再燃しています。
同時期に2種のチラシが町をかけめぐる
S(佐藤)軽井沢の庁舎周辺事業については軽井沢NOWでも何回か取り上げてきましたが、ここでもう一度、問題点をあげて再度考えてみたいと思います。軽井沢町が配布したチラシと「みんなで見直し検討会」のチラシがあるので、それを基に話していきます。
まずは軽井沢町が配布したチラシから。


①【庁舎の建て替えが必要な理由】
これは老朽化の問題など多くの人が理解しています。
②【コスト意識、情報公開、合意形成】
これについてはかなり問題がありますので、徐々に説明していきます
③【住民と深く議論ができる協議体の設置】
協議体とは推進委員会のことだと思いますが、軽井沢NOWでも何回も取り上げてきたように疑問点が多い。まず委員構成と発言の様子。これについても過去の軽井沢NOWを読んでもらうと不可解な点が浮かび上がります。
( 軽井沢NOW参照 karuizawanow.com/archives/922#index_id2 )
M(森) 「推進委員会は意見を述べてもらい町長が検討する」と事務局が言っていましたが、会議にはいつも町長がいなくて、どうやって町長が決めているの?と思いますよね。
H(広川) それはおかしいという声があがっています。やはり、町長が決めるならその場にいるのが当然でしょうね。


軽井沢町が配布したチラシ
「対話の場」は適正だったか
S 「合意形成」の項目に「対話の場12回」とありますが、おしゃべり会やワークショップなど回数が多くても建築費高騰には一切触れていない「おしゃべりの場」でした。
M 他の地方自治体では建設費高騰を意識して見直しているのに軽井沢町にそういう姿勢がないのも問題ですね。
H 「各区との意見交換会」として延べ40カ所と書いてありますが、これも問題。地区説明会は23区181名。1区画平均7名。参加した人の話では半分は役場関係の人だったという報告があります。説明も半分以上がDXの話だったと。その説明会にも町長は来ていないわけですよ。(軽井沢NOW参照karuizawanow.com/archives/961)
M パブリックコメントの回答も見てみると事務的でたくさんスルーしているのがわかります。
H 無作為抽出意見交換会を1000人やりましたと町長が定例記者会見で言ったため、1000人から意見を聞いたと勘違いした新聞社が記事に書きましたが、大間違い。参加者は46名だけです。1000人に参加を呼びかけたものの、来たのは町民30名、別荘民が13名、その他3名ですよ。参加者は少ないけどそこに出された意見は303件もありました
(町役場のまとめ https://www.town.karuizawa.lg.jp/uploaded/attachment/3763.pdf
参加者の意見 https://www.town.karuizawa.lg.jp/uploaded/attachment/3764.pdf )
M それはすごい。何も意見を言わない町関係の推進委員よりよほどいい。
S 意見はカテゴリー分けしたところ、庁舎の機能・規模(39 件)、公民館機能拡充施設(75件)、建物・外構等(35件)、事業全般 (52件)が多い意見。AIの分析では、「住民の間で最も激しい議論が交わされているのが、公民館機能の拡充および交流センターとしての在り方で『必要性への疑義』と『活用方法の具体性』という二つの軸で展開されている」と示されています。それなのに事務局は「公民館の整備方法については、直接的な議論はあまりなされなかったが、公民館を残す(改修する)価値が見いだせないという意見が数件あった。」と事務局にとって都合のいいことだけを強調しています。
H そのようなやり方が不信感を招くわけですよ。
M こういうことがあると、事務局にとって都合のいい説明だけを町長に報告していたのではないかと疑いたくなりますね。
対立するB案、C案 交流センターのあり方
H ④【町側の建設に関する専門家を配置】これは設計者と同レベルの一級建築士を2名アドバイザーとして採用したということですが、これについては推進委員からも疑問の声が出ていました。「アドバイザー報酬の予算が100万円と聞いたが、それでは無理。コンストラクションマネイジメントを入れるべきと思うが、それであれば総工事費の数%なので数億円ということもあり得る」という意見でした。
S ⑤【機能を一体化させた中庭のある多角形の建物】庁舎と公民館の一体化についても軽井沢NOWでは疑問点を指摘してきました。
(軽井沢NOW参照 karuizawanow.com/archives/855 )
一体化のB案と改修のC案の比較表を見ると一体化へ誘導する表現が見られるなど不自然な点を指摘。これだけ建築費が高騰しているならリノベーションで十分ではないかという声が多く聞かれます。
H 推進委員の中でも一体化について反対する声が根強かったですね。「工期の短縮」はむしろ建物を壊さないリノベの方がずっと早いし、公民館活動は他の公民館で可能です。工事の間だけですからさほど影響はないでしょう。むしろ新しくなって利用料がかかることの方が公民館活動には影響が出ます。公民館活動の調査もおかしな報告がされているので軽井沢NOWで取り上げました。( karuizawanow.com/archives/961 )
S 建物自体はどうですか。
M 中庭のある設計には、寒冷地なのでガラス面が多くなるから問題という意見も多いですね。確かに、ペアガラスにしても壁よりは冷気が伝わります。雪が降ったら氷になるから雪かきも大変。
H 駐車場が広すぎて役場まで遠いから寒い冬は歩いて行くのが大変という意見も。
M この計画は軽井沢のことをあまり知らない人が考えているのではないかと思うようなことがあります。
H ⑥【施設の内外でみんなの居場所となる場所】緑地部分をイベントや交流環境にしたいという計画をあげていますが、1年の半分以上は外に長時間はいられない寒冷地だということを忘れているんじゃないでしょうか。
M 交流の場なら発地市場やくつかけテラス、大賀ホールもありますからね。何とか、来てもらいたいという策なのでしょうが民間施設の利用を妨げるのはよくないですね。公民館の使い方の調査もおかしかったですね。(軽井沢NOW参照 karuizawanow.com/archives/961 )
H 調査する人たちが軽井沢のことをよく知らなかったのでしょう。
S こちらが「見直し検討会」が出したチラシです。




庁舎見直し検討会が配布したチラシ
気になる事業費と、「隠れたリスク」とは
S 一番気になる事業費について。事務局の発表では総事業費が約124億円、基金は約41億円ありますが、一般財源から約17億円出しても、借金(債権)は約65億円だそうです。
M ひゃー、65億円の借金! 利息もかかるんですよね。
S でも町長は「財政は将来まで健全。計画的に余裕を持った返済を行う」と言っています。
M 「将来まで健全」って、町長は予言者?
H 「経営のプロ」と言っています。これに対して「庁舎見直しを検討する会」のチラシでは反論しています。「町の将来を縛る隠れたリスクがある」と衝撃的! それは①納税者である現役世代の減少②大規模修繕費の増大(過去に建設された公共施設や学校など数百億円かかると予想)③現在の金利が続くとは限らないし、軽井沢のブランド力がどう変化するかわからないので固定資産税に頼れない、と。
M 確かに、状況は変化するかもしれないから確実とは言えない。軽井沢病院の大赤字も問題ですしね。
H 私としては、財源云々、返済云々の前に、そもそも役場の建物にそんな大金をかけていいのかという疑問があります。本来役場というのは町民から観光客まで軽井沢に関わる人たちを陰で支える仕事場です。必要な仕事ができればそれで充分ではないかと思います。みんなの税金は軽井沢の現状から将来にかけてもっと役立つことに使った方がいい。未来はどうなるかわからないのだから、将来世代へ借金を残さない方がいいに決まっています。
S そう思っている人は多いでしょうね。これからDXでますます役場へ行く必要はなくなりますし、中央公民館をわざわざ壊さなくてもリノベーションで十分交流センターとすることは可能です。それで事業費は軽減できるならその方がいいですよ。
S 「庁舎見直し検討会」のチラシに具体的でわかりやすく書いてあります。事業費124億円は町民一人当たりに換算すると62万円。見直しによって「50億円削減出来たらこんなことが可能になる」と具体的に書いてありますね。
M 「居住支援と住環境改善」「移動に困らない町へ」「生活道路を一新」など、50億円節約すればこれだけできるとわかりやすい。
H 今まで問題視されていなかった「隠れたリスク」が出ているので、ギョッとした人もいたのでは。
M 「124億円は氷山の一角」、これですね。まず、納税者である現役世代の減少。次に20~30年前に建てられた公共施設が次々と大規模改修や建替えが必要になります。400億円に迫ると書いてあるわ。
建替えのメインがいつの間にか、変化しています
H ここへきて様々な問題が出てきましたが、そのまま進むよりはよかったのではないでしょうか。意見や議論の少ない形だけの「推進会議」ではなく、住民が積極的に意見を言える「住民会議」を行って活発な意見を言えるようにしたらいいと思います。
M 庁舎建替えというより、公民館が大きくなってそこに役場がくっついている計画で、もはや「交流センター」がメインの計画になっていますね。
S 本来の目的は庁舎のはずですが、確かにこの計画、交流センターの内容が大きくなりすぎて「老朽化した庁舎の建替え」が目的だったことを忘れていませんか。老人福祉センターや中央公民館のことは付随して出てきたことであって、それ自体が問題ではありませでした。
M そういうことを皆さん、忘れていますね。
S 見直し会のチラシには町への要望が書いてあります。①「現計画の規模および総事業費の検討」②「30年間の財政分析の詳細公開」③「現行案と代替案(段階整備・改修案等)と第三者比較」④一般住民参加による「熟議の場」の設置。
H 4番目の住民参加というのは推進委員会が「熟議の場」ではなかったからということですね。
M ③の比較についても同じ設計会社ではなく、第三者を入れての検討が必要ということです。
S 将来世代への負担を減らすためにも②の財政分析は必要ね。
H 町議会ではこうしたことをなぜ議論しなかったのでしょうか。信州大学の寄付講座のときもそうでしたが、軽井沢町の議員はこうした重要な問題についてもっと追及する姿勢がほしいですね。寄付講座の時も議員が調べないから軽井沢新聞社が調べて、あれだけおかしなことが暴露されたわけです。
(軽井沢NOW karuizawanow.com/archives/156)
M 町議会議員は町民を代表しているわけですから、町政に関して、もっとシビアに追及する姿勢が必要だと思います。
