なぜ、訴訟になったのか

S(佐藤) 以前話題になっていた「湯川ふるさと公園の白樺問題」に関しての広川さんの裁判に決着がついて勝訴したそうですね。
H(広川)約2年に亘って裁判が行われ、先日、勝訴の判決が出ました。
M(森) そのことは私も聞きましたが、どういう問題だったのか、知らない人も多いと思うので詳しく聞かせてください。
H 2023年に、追分にあった白樺の木約30本が湯川ふるさと公園の広場に移植されました。それについて軽井沢で株式会社R(不動産業)を営むT氏が「軽井沢町は特定企業への利益供与を止め、公正な行政を」というオンライン署名を始め、それと同時に私に対して誹謗中傷のXポストを流しました。
S そうでしたね、思い出しました。白樺を植えてあった土地が広川さん所有の土地だったことから、Xは軽井沢町に対してというよりは広川さんへの誹謗中傷になっていました。
M オンライン署名にはT氏の名前もはっきりと出ていましたね。そこには「行政が特定の企業に便宜を図ったのは重大問題」と書いてあったけど、それで広川さん個人を誹謗中傷するのはおかしいですよね。
H T氏が勝手に思いついた妄想としか言いようがありません。「広川が土地を売却して利益を得たいがために、植えてあった白樺が邪魔になり町役場へ押し付けた。町長選で支援していたから現町長は便宜を図って湯川ふるさと公園に植えた」という筋書き。全く勝手な想像のストーリーです。私は土屋町長とは個人的に話したこともないし、後援会にも入っていません。選挙のときもそれぞれ候補者の街宣を撮影し取材しただけですからね。そんなことを頼むことができるわけがありません。

アメリカの友人が気づいた誹謗中傷のXポスト
M T氏は、広川さんが土屋候補の選挙事務所に行って署名したと言っていましたが、それは?
H 選挙事務所には取材に行っています。そこにはサクラソウ会議が「発地の希少な植物アサマフウロを守ろう」という署名用紙が置いてありましたからそれにサインしました。土屋候補を応援する署名でも後援会入会の用紙でもありませんよ。
M アサマフウロ保存の署名、それなら私も書きました。T氏はそれを後援会に入る署名と勘違いしたのね。
S 名誉棄損で訴えるというのはよくよくのことだと思うけど、それはどうして?
H SNSでの誹謗中傷で自殺者が出るほど社会的に問題になっている時期でした。事実と全く違うことを書かれて、長年私が積み重ねてきた業績を否定され、「人の道に外れている」などと人格までも傷つけられたからです。事実とは全く違っても、そのまま信じてしまう人もいるわけで「金のためなら役場も泣かす」とか旧軽井沢の東急のホテル問題まで出してきて「あっちでもこっちでも黒幕は小夜子かい」とポストされて本当にひどいと思いました。これに同調するポストも増えて非難の声が広がっていました。私はブロックされていたので当初、そんなことになっているとは知らなかったんですが、アメリカにいる友人が「こんなこと書かれているよ」と知らせてくれました。そんなデタラメが世界中に流れていたなんて許せませんよ。

「黒幕と書いたT氏のポスト
S オンライン署名は海外にも流れるからその影響力は大きいね。
M この白樺の署名はつい最近まで出ていたけど、77人しか集まっていなかったね。
S たった77人ですか。それに比べて近隣住民が中心となった「旧軽井沢の歴史的な街並みを壊すホテル建設計画を取り下げて」の旧軽井沢のオンライン署名はカナダやアメリカ、イタリアなど海外からも集まって2012人の署名が集まって県へ提出しましたね。
H 東急のホテル問題は旧軽井沢の近隣住民が中心に行ったことなのに、これについてもT氏は「黒幕は広川」とポストしていたんです。
M それはひどいね。

誹謗中傷はエスカレートしてポストに同調する人も
不動産屋のマナー違反
S このT氏は不動産屋なんだよね。それなのに、オンライン署名の説明の中に土地の所有者の名前や土地の売値まで出すのはルール違反なのではないかな。不動産屋は売り主の名前は契約するときまで教えないものですよ。しかも売買を依頼されていない土地の金額までわざわざXに書いてポストしていましたね。
M そんなことまで勝手にポストするような不動産屋には怖くて頼めないわね。「自分の利益のために」って、さも広川さんが儲けようとして土地を売るようなことをポストしているけど、土地を売る人はそれぞれ事情があってお金が必要だから売却を依頼するわけでしょ。それを不動産屋が土地を売るのをまるで悪いことをするような言い方をするのは失礼ですよ。
S 今後のためにも、所属している不動産協会には業者としてのマナー違反だと言った方がいいかもしれない。
H オンライン署名に最初は私の名前を書いていました。change.org(オンライン署名の会社)へ「個人情報は入れないで下さい」とメールしたら、T氏は注意されて「Hさん」に直したけど「自然景観会議事務局長」というのを消してないから、Hさんが誰かはすぐわかります。change.orgにそのことを伝えたら「削除しなければこの署名の記事そのものを削除します」と言ってくれて、T氏はようやく削除しました。

オンライン署名には当初個人名が記載されていた。拡大するとよくわかる
M そこまで広川さんの名前を出したかったというのは悪質ですね。
S T氏がそれほど広川さんを追い詰めようとした目的は何なのですか?
H 一緒に食事をしたことがあります。私は軽井沢の自然を守りたい派、彼は開発推進派。「軽井沢のためにはホテルやマンションができていくことが発展につながる」と彼は言い「景観育成住民協定」には反対の立場を示し意見が衝突しました。そういう考えの違いが根底にあるのかもしれません。
M 嫌がらせなんですね。
なにも証明されない裁判
S 広川さんがその白樺が植えてあった土地を売ろうとしたのは、ハーモニーハウスの保存のためだということでしたね。
H そうです。ハーモニーハウスは吉村順三の建築で軽井沢の文化遺産としてブループラークの認定を受けていましたが、浄化槽の検査で漏れていることや5人用の浄化槽だったことがわかり、30人用に入れ替えないと営業できないということになりました。建物はエロイーズカフェとしての売り上げで維持してきたのですが、コロナ禍の影響で営業赤字となり、大家である青少年音楽協会もカフェを営業している会社も、浄化槽の入れ替えをするお金はありませんでした。2000万円くらいかかるということだったので、それなら追分の土地を売って何とかできればいいと思って売ることを決めたのです。(その後、工事費も入れて5000万円の見積もりが来た)
M そこまで考えるというのはなぜ?
H そのお金はカフェの会社に貸して利益が出たら返してもらって、新しく土地を買って白樺を植えればいいと、そう思いました。私は軽井沢ナショナルトラストの発起人の一人ですし、この建物は軽井沢の貴重な財産だから保存すべきだと思っていたんです。建物は壊してしまったらニ度と同じものはできない。けれど樹木はまた育てることが出来ます。それで自然景観会議の理事の方たちに事情を話してその土地を売ることは承諾してもらいました。理事の人たちが町に交渉して湯川ふるさと公園に植えることになったようです。その辺のいきさつは、私は関わっていないので詳しくは知らないんです。
M それなのに、「町が便宜を図った」「黒幕だ」なんて決めつけるなんて、すごい妄想ですね。
H 直接、私に聞きにくればいいのに一切そういうことはなく、決めつけのストーリーなんですよ。それを信じて「そこまでわかったのですね」「裏事情を知れば知るほどドス黒い」「こんなことして恥ずかしくないのか」なんてポストする人たちが増えて行きました。そういうところがSNSの恐ろしいところです。T氏自身のポストも「金のためなら役場も泣かす~♪それがどうした文句あるか」とエスカレートしていきました。
S このTさんという人、不動産業者なのにそこまで失礼なことをして自分の商売に影響することを考えないというのも愚かと言えますね。
H 弁護士に相談した方がいいと言ってくれたのも軽井沢で昔から不動産業をされている方でした。その人も軽井沢不動産協会の方なので、こういう不動産屋が軽井沢にいるということは迷惑だと思ったようです。
M でしょうね。どう考えてもおかしな人だと思われますよ、妄想でここまでするなんて。結局、裁判の判決はどういうことだったのですか。
H 判決は2025年6月19日に言い渡されました。
①町長を支援したという証拠はない
②軽井沢町が白樺の木を受け入れたことが、選挙の支援の見返りとして植えたとはうかがわれない。真実と認められる証拠はない。
③「小夜子の土地の木を植えてあげた軽井沢町というイメージは、東急問題でも影響を与え、こっちでもあっちでも黒幕は小夜子かいと県の幹部からは見える」というポストについては原告(広川)の評価を低下させるものといえる(名誉棄損)。
④ 便宜供与の事実が証明されていない。何ら理由なく「貴女のしてきたことは人の道を外れている」というポストの表現は受忍限度を超えて原告の名誉感情を侵害するものである(誹謗中傷、名誉棄損)
このように判断されてT氏は敗訴、精神的苦痛を与えたとして慰謝料と弁護士費用を払うことになったのです。慰謝料は大した額ではありませんし、それが目的ではありませんから、勝訴ということで満足です。こうしたSNSによる精神的な危害がいかに人の精神や信用を傷つけるかということを理解させ、それを戒めることができてよかったと思っています。
S 明らかに証拠もなく妄想によるSNSの投稿でここまで問題を大きくして広川さんや軽井沢町長や行政にまで迷惑をかけたことは大いに反省してもらいたいと思いますね。町長にも謝るべきでしょうね。
M T氏は自身の蒔いた種とはいえ、今後の商売に響くことをしてしまったことは残念ですね。
H こうした誹謗中傷に、安易にXで同調することのないように誰もが気をつけないと、同罪になってしまうということも付け加えたいと思います。
なお、吉村順三建築のハーモニーハウスがなぜ保存できなかったかについては軽井沢NOW「消えたハーモニーハウス&メロディハウス」に書いてありますのでそちらをご覧ください。


