軽井沢町長選挙の一番の争点となった「庁舎改築周辺整備事業」がその後どうなったか、気になるところだが、ようやく8月5日、住民に向けて「見直しの方針」が案として示された。
委員会を開き「見直し方針(案)」を発表
これまでの計画では建設費として新庁舎建設が約52億円、複合施設が約29億円、その他費用約29億円。町長選挙を控えた昨年末、この総額が約110億円にのぼることがわかり問題になった。
「凍結・見直し」を掲げて当選した土屋三千夫町長は「軽井沢町庁舎改築周辺整備事業見直し委員会」を立ち上げ、令和5年5月25日に第1回、6月19日に第2回の委員会を開いた。
7月下旬に見直し方針(案)を作成し、8月上旬、町内3箇所で説明会を開催。8月5日には軽井沢中央公民館で説明会が行われた。
今回の「見直し方針」はあくまでも案であり、住民へ「何に、どれだけのコストがかかるか、なぜ、発生するか」など情報を伝え、これからも意見を聞く場をできるだけ設けたいとしている。
コスト削減はどのように行うか
気になるコスト抑制のポイントは
●既存施設を活用した役場機能
既存施設を活用し各課の再配置も検討。DX化(デジタル変革)の推進も図る。
●工事期間の短縮
当初の計画は第1期工事(新庁舎)第2期工事(公民館機能施設)という段階的な計画だったが、同時整備することに変更。これにより工事期間は短縮しコストも抑えることが出来る。
●「ZEB」ではなく、「ZEB Ready」
「ZEB」(Net Zero Energy Buildingの略称。)により再生可能エネルギーを活用することでエネルギー収支ゼロを目指す計画は、今すぐ設備投資するのではなく、将来的にZEB化できるように検討する。
●新庁舎の規模を縮小
既存施設を活用した役場機能の再配置を検討することで、当初計画の7500㎡から6000㎡程度に縮小。
●公民館機能等は共用
会議室や交流スペースなどは庁舎としても公民館としても共用できるようにしてスペースを削減。
「森の中の庁舎」のコンセプトを活かす
「もりの縁側」のコンセプトを継承し、車以外の同線はアスファルト舗装の面積を最小限にとどめ、ウッドチップや浅間石など自然素材を活かした軽井沢らしい「森の中」の空間づくりを検討。植樹も地域に由来する植物を用いる。敷地南側は自然豊かな環境にして湯川ふるさと公園との導線になるように整備するという。
【團紀彦さんのコメント】
軽井沢町のマスターアーキテクトであり、今回の見直し案にもアドバイスする建築家の團紀彦さんに翌日会う機会があったので、庁舎の見直しについて尋ねると次のように語ってくれた。
「今までは西側に民間の土地が入っていたのでダンベル型で非常に設計が難しい面がありましたが、土屋町長になってからその土地(ブルーの部分)も使えることになったので、設計が良い形にできるようになりました。国道側が緑の森になり、その奥に庁舎があるという軽井沢らしい形になります」
事業費は足りるのか?
庁舎建て替えのための積立基金は令和5年3月時点で24億円。不足分については、世代間負担の公平性の考え(将来使用する世代にも負担してもらうという考え方)に基づき、起債(借金)の活用を検討する。
仮に60~80億円とすると、毎年の返済額は2~3億円。町の予算額(約160億円)の1.2%~1.8%%程度。併せて、補助金や交付金の活用も検討する。(今までに発生したコストは約3億円。)
見直しの案を3つ提示
方針段階でのアイディアとして3つの建築パターンが示された(確定事項ではない)
- 分棟案
庁舎と公民館機能拡充施設(複合施設)の建物がそれぞれ独立。
2.一体化案
庁舎と公民館機能拡充施設が一つの建物。会議室や交流スペースは共用。
3.公民館改修案
既存の中央公民館を改修し足りない機能やスペースを庁舎と組み合わせて建築。
この3つのプランには参考資料としてコスト指数が出ている
(当初の基本計画時を100として面積換算)
A-88
B-80
C-76
この後、新軽井沢会館、追分公民館でも住民説明会が行われる。またライブ配信も予定されている。意見募集は8月18日まで実施。(詳しくは軽井沢町役場のHPを参照)