愛宕山別荘地に発見されたリデル、ライトの足跡
H(広川) もう一つ、紹介したいのは英国人のハンナ・リデルの名前が刻まれた石造物が見つかった話題です。軽井沢ではあまり知られていませんが、日本のハンセン病救済運動の草分けとして活躍した英国人宣教師。熊本市にはリデルが設立した救済のための病院や研究所がありました。日本のハンセン病救済に貢献した女性なんです。
M(森) 熊本にそういう病院があると聞いたことがあります。いつ頃のことですか?
H 病院を設立したのは明治28年ですが、英国国教会の伝道師として来日したのは明治24年、35歳のときでした。
S A.C.ショーも英国国教会の宣教師ですから、当然交流はあったのでしょうね。
H 軽井沢での聖書研修会などに参加していたそうです。リデルは熊本で初めてハンセン病患者と出会って衝撃を受け、私財を投じて病院を造ることを決意しました。今はその場所に記念館があります
M 別荘はどこにあったのですか?
H 愛宕山別荘地ですね。私は20年くらい前に中島松樹さんから案内してもらって、その別荘跡地へ行ったことがあります。そこには別荘はなく、「愛犬プリンスの墓」と刻まれた石盤がのこっていましたが、今回発見された石造物には気づきませんでした。その後、数回行っていますがそのような物は見たことはありませんでしたね。敷地の隅の地中から出てきたということなので、気づかないわけですね。よく発見されたなと思います。
S ハンナ・リデルという人は軽井沢でどのような活動をしていたのか分かりますか。
H 軽井沢には毎年避暑に訪れて、運営資金を募るため政財界や上流階級などの有力者との人脈を築いていきました。大隈重信や渋沢栄一などの名士たちが協力してくれたそうです。
M リデルの名前と並ぶライトという人は女性ですか?
H リデルの姪のエダ・ハンナ・ライトです。昭和7年にリデルが亡くなった後、後継者として意思を継いで病院を守りました。
S この石造物はどのようにして見つかったのですか。
H リデルの別荘がある愛宕に愛犬の墓が幾つかあるというので、軽井沢ナショナルトラスト会長の柴崎雅寿さんが探しに行き、偶然見つけました。
M 写真で見ると、歴史的な存在感のある石造物ですが、これはどうなるのですか。
H 熊本にあるリデル、ライトの記念館で保存したいという意向もあるようですが、軽井沢で保存できないでしょうか。
M 所有者は誰でしょう?土地の所有者ということになりますか。
S 日本のハンセン病患者のために献身的に救済活動をしたリデルとライトという人物の軽井沢での軌跡ですから、できれば軽井沢に残してほしいですね。