軽井沢に必要な庁舎とは
M(森) 1月の選挙のときに争点となった「庁舎建て替え」の件ですが、その後軽井沢NOWではなぜ、取り上げないのですかと聞かれませんか?
S(佐藤)聞かれましたが、まだパブリックコメントの募集とか、 ワークショップとか様々なところから声を集めようとしている段階でしたから、もっと煮詰まってからでないと記事としてはまとまらないと思っていました。広川さんはどうですか?
H(広川)私は役場としての建物に、さほど関心がありません。観光客が来るわけではないから、凝ったデザインにする必要はないし、ごく普通に仕事ができる場所であればいいと思っています。「国際親善文化観光都市だから、それにふさわしい建物にする」なんて言った当時の町長は、誰が何をしに来る所かを理解していないと思いました。町民は年に2,3回、別荘民は年1回すら来たことがないという人がほとんどです。不便なく用件を足すことができればいいので、お金をかけた建物にする必要はないと思っています。ヨーロッパでは歴史的な建物を使っている町が多いですね。その土地に合った雰囲気の建物を庁舎として上手に使っていますね。アメリカの有名なリゾートの町は森の中の古い教会を使っていましたよ。
M 古い教会が役場なんてなかなかですね。日本人のように「快適で便利優先」ではないからできるのでしょう。
パブリックコメントやワークショップ、意見は多種多彩
S 令和元年に「庁舎改築周辺整備事業検討委員会」が発足して令和5年2月まで9回開かれました。令和3年3月に基本方針を策定し8月にプロポーザルの第一次審査、9月に第二次審査が行われて「山下設計・三浦慎設計室」が選ばれました。
M 町民に向けてのワークショップとか意見募集とか、何回も行われましたね。
H 昨年のワークショップには私も参加しましたが、そこで感じたのは「役場としての機能+住民が集う場」と挙げる意見が多かったことですね。カフェとかギャラリーとか、中にはお祭りや縁日のような場を望む人もいて、誰も予算のことなど気にしないでいろいろ要望を掲げていました。中には「機能的であればいい」「施設より職員の対応」という声もありましたが少数派でした。
M 町民が集う場とか、ギャラリーやカフェは民間にあるから役場には必要ありませんよね。すぐ近くに中央公民館もありますしね。そういう要望が多かったからでしょうか、スペースも広くゆったりした設計でしたね。
S そして選挙の争点がこの110億円という建設費の問題でした。選挙の結果、町長が変わったことによって事業は凍結、見直しとなりました。今年3月に新庁舎建設工事基本設計の策定を行い、5月に学識経験者や町職員による委員会を設置して、見直しの方向性の検討を行って議会からも意見を聞いています。
M 8月に見直し方針の案を住民に説明したりパブリックコメントを募集したりしていたけどどうだったのかしら。
S 説明会は3カ所で行い、パブリックコメントは51件あったそうです。
H 町のHPにも掲載していますが、「ZEB Ready」ではなく「ZEB仕様」を求める意見が多かったようです。しかし、それがかなりの金額になり100億円を超えた一番の原因ですから、難しい問題ですね。その他、「事業全般について」「見直し方法について」「行政サービスについて」などなど、実に細かく具体的な質問も出ています。中には「見直し方針(案)、ワークショップをいつまで続けるのでしょうか。期限を設けてスピードアップした方が良い」と心配する声もありました。
M 今回だけでも80以上の意見が出ていますから、まとめるのは大変ですね。さらに一般公募を入れての委員会を行うわけですから、そこでまた様々な意見が出るでしょうね。まとまるのかな?