信州大学からの監査請求の回答をどう見るか

軽井沢町と信州大学との提携による寄付講座に関しての監査請求は、当時の藤巻町長が推進し町議会の承認を得ていることなどの理由で棄却された。しかし、監査請求人からの詳しい調査内容に様々な問題点が浮かび上がったことから、土屋三千夫軽井沢町長は「請求人の意見の中には傾聴すべき主張が存在し、それに耳を傾けることが町の将来にとっても重要」と発表した。

監査請求の内容について、軽井沢町は5月16日付で信州大学に調査と説明を求めていたが、ようやく7月6日付で、中村宗一郎信州大学長の名で回答が届いた。

目次

説明不足で曖昧な回答

(回答の内容は軽井沢町のHPをご覧ください)

https://www.town.karuizawa.lg.jp/www/contents/1688608103984/simple/kifukouzakaitou.pdf

S(佐藤) この寄付講座の問題を追ってきた我々3人で、この信州大学からの回答について検討していきたいと思います。森さんどう思いましたか。

M(森) ずっと関心を持って見てきましたが、この回答では誠意がないと思いました。軽井沢町のHPにも書いてあるように、大学の内部監査による関係者への聞き取りをした結果に基づくものでしかなく、軽井沢町に対しての調査や証拠書類の提出の依頼などは一切なかったということですよね。あまりに一方的で安易な調査だと思います。

H(広川) 私もこの内容を見て、「具体的な説明はなく、素っ気なくかわした」という印象を受けました。「不適正とは言えない」「不適正な支出とまでは言えない」というように全て信州大学側からの主観的な表現に終わっています。しかし、そう言い切るだけの証拠を出しているわけではないですからね。

カーテン設置が居住することになるのか

M 町民から関心の高かった、問題の旅費についても「寄付講座の設置目的から明確に逸脱しているとまでは言えない」という主観的な理由です。それならどのような目的でどのような成果があったかを説明してほしいものです。

S すべてその調子ですよ。おかしいと思うのは、「カーテンを設置した部屋とそれ以外の部屋とを明確に区別しており、居住することを想定していたと考えるのが妥当であることから、居住に係る住宅関連の支出については、不適切な支出とまで言えないと考える」なんて、電気洗濯機など購入したことに無理やり理屈をくっつけているんですよ。カーテンで区別するなんておかしくありませんか?居住しなくても事務所だけだってカーテンを付けるところはいくらでもあります。町の公民館だって、プロジェクターを使用するからカーテンをつけていますよ。

M これには私も笑っちゃいました。家電製品や生活備品を購入したことを弁解するためにこじつけたへ理屈に聞こえます。本当にそう思っているなら、浴室の手桶や浴室サンダルなんかをなぜ、黒塗りにして隠す必要があるんですか。学長の言葉とは思えませんね。

H 居住することが当然だと言うなら浴室サンダルをわざわざ黒塗りにする必要はありませんね。

S すべてがその調子で、詳しい説明や証拠書類もなく、ご都合主義の言い訳しかないので、到底納得できるものではないですね。

(下の写真)信州大学社会基盤研究所の軽井沢オフィスとして町が家を1軒、無償で貸与。所長は家電製品や備品をそろえ、まるで別荘のように滞在していた。

信州大学との寄付講座の継続は中止を決定

M これは本当に学長が書いたものなのでしょうか。信じられませんね。

S 誠意のない回答書だと思いますが、しっかり学長印が押してありますから誰が書いたにせよ、学長の文書に変わりありません。

H この学長と〇橋教授はとても仲がいいそうです。今、地方の大学はどこも経営上、苦しい状況ですから、〇橋教授のように地方自治体や企業からお金を集めて来る人物は離したくないのでしょう。

M  そういう結びつきも否定できないかもしれませんね。大学も経済優先ですか。

S 軽井沢町はこの回答について納得を得られないから「内容を精査したうえで引き続き協議を行っていきます」と述べています。そして様々な角度から判断して「信州大学との寄付講座は継続しないと」結論づけました。

H 研究費として2億5千万円を好きに使ってよいと言った藤巻前町長もどうかしていると思いますが、使い道の理由を納得いくように説明できない信州大学社会基盤研究所の〇橋教授は不誠実と言われても仕方ないでしょうね。それをかばう学長の姿勢も同じことが言えます。

M これで信州大学との関わりが無くなることを心配する人もいますが、軽井沢病院はどうなるのでしょう。

S 「軽井沢健診」は続けるそうですね。寄付講座は信州大学だけが行っているわけではありませんし、全国的には色々な地方自治体が様々な大学と提携して寄付講座を行っています。その金額には医師の報酬が含まれているのが一般的ですが、医師の給与を2億5千万円とは別途に支払っていた軽井沢町は異常でした。

もともと医師派遣は信大の医学部から来ているのではなく、社会基盤研究所のHPで募集して応募した医師が来ていただけのことです。今は優れた医師を派遣する組織やHPがあります。

H 軽井沢に別荘を所有する医師はたくさんいます。別荘団体連合会に所属する医師もこの寄付講座の問題を知って「協力しますよ」と言っています。

(下の写真)信州大学社会基盤研究所軽井沢オフィス開所式。

NPO法人軽井沢先端学術センター、利益相反の問題は

S 監査請求で問題となったNPO法人軽井沢先端学術センター(KCC)の利益相反の疑惑について信州大学は「軽井沢オフィス(信大社会基盤研究所)と同じ住所となった経緯は適正に処理されている」「事務所としているセンチュリーフォレスト202号室は施設利用料を払うことに問題はない」「利益相反に該当する取引は確認されなかった」とすべて問題点を否定しています。

M 同じ信大の特任教授ら9人が理事で、その副理事長が所有する建物の施設利用料が払われているのに「問題ないと考える」というのは苦しい言い方に聞こえます。

H 社会基盤研究所関連の清掃や印刷物をそのKCCを通していることに何の疑問も持たないというならその根拠をはっきりさせるべきですね。マージンを取っていないという証拠を出すとか。

S 「利益相反が疑われることがないよう、十分な説明が必要であった」と述べていますが、印刷物や清掃代をKCCを通さなくてはいけなかった理由を納得できるように説明してほしいものですね。

H 軽井沢町との寄付講座が継続できなくなることで、今後、このKCCはどのような形をとることになるのか注目したいと思います。

(下の写真)いったい何のためだったのか今も疑問が残る、信大社会基盤研究所が一時購入してすぐ売却した旧軽井沢高級別荘地にある恵シャレ―の建物

参考資料

住民監査請求の内容

bessisiryou.pdf (karuizawa.lg.jp)

住民監査請求の監査結果

kansakekka.pdf (karuizawa.lg.jp)

監査結果に対する軽井沢町の対応

住民監査請求の監査結果に対する町の対応について│長野県軽井沢町公式ホームページ (karuizawa.lg.jp)

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