怒号の中で始まった「信大・東大提携の寄付講座」報告会

平成30年から行われてきた信大・東大連携事業「寄付講座」の初めての報告会が3月3日軽井沢中央公民館で開催された。冒頭から、社会基盤研究所所長の丸橋昌太郎教授が大きな声で「刑事告訴しました」と叫ぶなど異様な空気で始まった報告会について軽井沢NOWメンバーの3人が語る。

(あくまで3人の個人的な感想・意見であることをお断りします)

急きょ行われた信大・東大提携寄付講座の報告会
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「刑事告訴が受け入れられた」と叫ぶ教授

M(森) 「寄付講座」の報告会の冒頭、信州大学社会基盤研究所の丸橋昌太郎教授がいきなり「軽井沢新聞が事実と違うことを書き、印象操作を行っているので刑事告訴しました」と叫んだので驚きました。そのあとすぐに会場から参加者の男性が丸橋教授に向かって「脅迫するようなことを言うな!」と大声で怒鳴ったので、またびっくり。会場は険悪な雰囲気に包まれていましたね。

S(佐藤) 報告を聞きに来た人に向かって、いきなり丸橋教授のあの言い方はどうなのかと思いました。あれで社会基盤研究所は良くない印象を与えてしまったと思います。

H(広川) 軽井沢町からの寄付講座への金額は年5千万円、5年契約で2億5千万円が信州大学社会基盤研究所へ支払われましたが、5年の間に一度も報告会は行われなかったんですよね。この日行われることになったのは3月末で5年の契約期間が切れるから、ようやく開くことになったわけ。なのにこの報告会、参加者に事業報告書や資料など何も配られませんでしたよね。プロジェクターで映し出すだけで「こんな報告会はあり得ない」と呆れている人もいました。

S 寄付講座によって信州大学の医師が来るようになったのかと思ったら、実はHPなどで募集して応募してきた医師が来ていると知って意外でした。しかもその給与が5000万円の中から出ているのではなくて軽井沢病院から出ていたことも知りました。

M それにも私は驚きました。他の自治体でも医師派遣の寄付講座はあるけど、医師の給料がその中に入っていますよね。社会基盤研究所からは週1回研究に来ている月4日分だけしか支払われていないわけですよね。では5千万円の残りの使い道とは?それをクリアにしないから疑問を持たれるわけですよ。

H 社会基盤研究所が自ら年間5千万円の使い道について明らかにすることが必要ですね。5年で2億5千万円という大金が何に使われたのか、税金である以上、町民には知る権利があります。町役場の担当に聞いても「研究費なので町は聞かないことになっています」という返事で答えにならない。町議会議員の中にも疑問を感じた人がいて議会事務局へ聞いてみると「町では人件費ととらえている」という回答でなんだかよくわからない。

S 私も議員に聞いたことがありますが、その議員は疑問を持ちつつも「軽井沢へ医師を派遣してくれるならいいのだろう」と自分を納得させていたそうです。

H 議員がやらないから軽井沢新聞社が調査したんですよ。信州大学に情報公開請求したら、出てきたのは真っ黒塗りの文書。これではまったくわからない、総務省を通して再度情報公開請求すると、黒塗りだった部分が明るみになった。すると、そこには驚きの事実が見えたわけですよ。

瀟洒な家が町から無償で与えられていることを多くのの町民は知らない

1軒の家を与えてもらい、寝具や家電製品を購入。そのわけは?

H 社会基盤研究所の事務所として軽井沢町が家を1軒無償提供していることを多くの町民は知らないんですよね。なぜ家賃を取らずに提供しているのかもわからない。その家の備品として電気冷蔵庫、乾燥機付洗濯機、4Kテレビ(2台)+液晶テレビ、エアコンなどの家電製品。金額をかけ過ぎではないかと思うタイルカーペット97万円、ブラインド123万円。家の周りには人工芝16万円、コニファー植栽20万円。なぜこんなに高いものが必要なのか、プロジェクター45万円、ボードスタンド47万円。この他にも大金を使いパソコンを何台も購入している。車の洗車代やガソリン代、最後まで黒塗りだったのは個人的な書物。何なのでしょうね、よほど知られたくないのかと思われますよね。

M 事務所なら大家(軽井沢町)に家賃を払い、必要なものは自社でまかなうのが普通でしょう。

H 寝具や湯桶、バスタオルまで黒塗りにしたのは、通えばいいだけの事務所なのに宿泊用の物を購入したと知られたくなかった。別荘代わりに使用していると受け取られても仕方がないですよ。やましくないとしたら、そんなものまで黒塗りにする必要がありますか?人件費と言うなら個人情報だから黒塗りでも仕方ないけど、湯桶なんて隠すほどのものではないですよね。隠すこと自体が怪しまれます。

M「医師を派遣したから」「有意義な研究をしているから」って、町民の血税をこのように使ってもいいということにはならないわね。この隠した5000万円の使い道で、社会基盤研究所は不信感を与えています。

H これだけではないんです。

M まだ、ある?私たちの税金を何だと思っているの!

H  イギリス、ドイツ、アメリカなどの海外旅行、京都、熱海などの国内旅行。これが軽井沢の寄付講座に関係しているということなら、その説明が必要です。不動産鑑定料や仲介手数料などもありますが、報告会ではこれに関する説明は何もありませんでした。

「軽井沢高校の魅力化」と10億2千万円

M ところで5年間の成果ってなんだったの?

S 報告は信州大学経法学部教授で社会基盤研究所所長の丸橋昌太郎教授と、東大先端科学技術センターの玉井克哉教授が中心となって行っていたけど、町民に直接関係する成果は「総合診療科を作り医師を派遣した」「軽井沢健診を行いフレイルの研究をした」というのだけ。あとは信州大学の学生へのプログラム設置や町職員に対してのセミナーでした。軽井沢健診は別途、町が1500万円を出していますが、そのことに触れることはありませんでした。

M 信大生へのプログラム?それは成果とは言えないのでは。

S 軽井沢健診もまだ途中です。200人ほどのデータでは足りないと思います。 

H 一般的な寄付講座は大学内や大学病院内で行って、派遣される医師の給与が入っているのに、軽井沢は寄付講座に医師の給与が入っていない。信大の寄付講座も、軽井沢以外で行っているものは全て、医学部や医学部病院内に寄付講座が設置されているんですよ。

M 軽井沢はなんか変よね。

H ちなみに青森県むつ市では弘前大学と提携して寄付講座「むつ下北地域医療学」を行っているけど、派遣医師は5名、3年間で1億5000万円。医師の給与も入っている。

M みんなそういうこと知らないからね。議員も少し調べたらわかったんじゃないの。調べようとも思わなかったのね。

S 軽井沢の寄付講座は法学部の教授が間に入っているから「医療安全法学」という名の寄付講座になっている。その中には「軽井沢地域課題の解決」という課題が入っています。課題には「渋滞対策」が入っていたけど、対策どころか結局何も行われていないですね。今後どのように取り組むかということも話されなかった。

M 私、すごく気になることがある。「軽井沢高校の魅力化」に取り組むと言っていたけど、そのために「大学教授や大学院生による特別セミナー」や「大学の先取り授業」などを行うというの。高校生に大学の授業を強制的に教えようとしているのが気になった。玉井教授はカーボンニュートラルのために「水素エネルギーの蓄電の実証実験」を軽井沢高校で研究すると言い、「これからは源氏物語なんて色恋沙汰の話を学ぶより科学を学ぶことが必要。軽井沢から先端企業創出を目指す起業家が生まれることが期待できる」と話していましたね。これって失礼な話ですよね。学問に優劣はつけられないはず。教授の言うべき言葉ではないと思う。日本の古典文学を研究している学者が怒りますよ。源氏物語を学びたい高校生がいたら科学の勉強なんて押し付け教育ですよ。私はこういう人に教えてもらいたくないな。

S 「ふるさと納税企業版」で資金を集め「水素吸蔵合金による電源システムの実証実験」を行うということを言ってましたね。これはトヨタに持って行ったけど断られ、軽井沢に持ってきたということらしいけど、実態が見えていないし大掛かりな装置がいるようなことも聞いています。

H トヨタが断ったような話は何か理由があるのかもしれませんね。軽井沢でなくてもできるものを軽井沢でやる必要があるのかな。他でやったらいいじゃないですか。10億2千万円という大きな数字がどこから出てきたのかもはっきりしないし、もう一度よく考えた方がいいかもしれませんね。

12月13日に行った水素エネルギーの講演会には参加者が少なかった

最後まで荒れて嫌な雰囲気のうちに幕切れ

M 報告終了後が、また騒然としました。

H 参加者からの質疑応答があって「すばらしい内容。これからも続けてほしい」という感想が出る一方、「5年間の研究成果としては少ない。これでは1年目のような報告」と厳しい意見もあがりました。しかし、私たちが一番知りたかった「5千万円の使い道」については少しも納得できる説明はなかった。質問時間も迫って来るからこのままでは不明のままに終わってしまうと思い、「家電製品や湯桶を5千万円の中から使うのはどうか」「熱海に女性と旅行しているのはおかしくないか」などの質問をしました。丸橋教授はにやにや笑みを浮かべ、「熱海に旅行というのは研修旅行、皆で行っている」と言ったのですが、行った日を忘れているようですね。それは2020年12月28日。コロナ禍の緊急事態宣言さなか、しかも年末に研修旅行など行う研究会があるでしょうか。

M あるわけありませんよね(笑)。コロナ研究会だってやらない。

S 玉井教授は「そのように疑うのであれば、止めればいい。医師は来なくなる」とまた脅しのような言い方をしました。医師派遣をぶら下げれば通ると思っているかもしれないですね。医師派遣の寄付講座は信州大学に限らず、他大学でも行っていることをわかっているはずですが。

H そのとき、またしても会場から突然大声で叫ぶ人がいました。「丸橋さん、あなたは長野県内でも名のある教授になったけど、そういう態度は森林組合の問題の時と変わらない。もっと教授らしい態度で話すべきだ」。報告会が始まるときに大声で「脅すのは止めろ」と叫んだ人でした。(森林組合の問題とは、2015年に大町市の補助金不正受給問題大北森林組合が使い込みをやった問題。その時丸橋氏が何かからんでいたのでしょうか)

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質疑応答は時間切れとなり、最後に土屋町長が挨拶し、今後のことについて話しました。「皆さんから出た賛成や反対の意見や今までの資料などを参考に評価し、3月末までに時間がないが今後について検討します。税金は町民の福祉のために使うべきという原点があるので、健診もふくめ考えたい」と述べ、報告会は終了しました。

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