庁舎建て替え予算、約110億円 !

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桁違いに膨らんだ理由とは

7月に軽井沢町役場が発表した「庁舎建設及び周辺整備基本計画(案)」を見た人は、その大幅に膨れ上がった予算に驚いたことだろう。当初、発表した予算では庁舎建設費が37.5億円、複合施設が25億円だった。多くの町民には約65億円という数字がインプットされていた。何がどう、増えたのか?

太陽光発電パネルに12億円

6月3日、4日に住民を集めてワークショップを開催したときに、「シンプルな機能&コストダウン」と言う意見が出ていたにもかかわらず、なぜ、こんな桁違いに増えたのか?

65億円という数字には解体費、外構工事費や設備費が含まれていなかった。

さらに、増額になった理由として「地下面積約1700㎡(約515坪)を増床」「太陽光発電パネルの設置等」「建設物価約12.5%の上昇」をあげている。しかも建築物価はこれからも上がる可能性があると注意書きがある。

地下の約1700㎡は何かと思ったら、公用車駐車場等に使用するのだという。驚くのは、『ZEB』実現のための太陽光発電設備工事費として新庁舎に約6億円、複合施設に約6億円、計12億円を掲げていることだ。実際、何枚のパネルをどこに置くのか?太陽光発電パネルは昨今、様々な問題が出ているだけに気になるところだ。浅間山噴火に対しての破壊や流出の問題はないのだろうか?

財源はだいじょうぶ?

複合施設に関しては施設の面積が概ね5000㎡(約1515坪)ということと工事費の数字が出ているだけで、具体的なことは出ていない。しかも面積は機能的なことを検討し決定するというから変更の可能性もあり、総額はまだまだ上がりそうだ。

この数字を聞いた町民や別荘民の反応としては、まず巨額に驚く。次に「軽井沢町、大丈夫か」と心配する声が聞こえる。役場の計画案では事業費・財源について、「整備基金を計画的に積み立てる」「市場公募債など地方債を活用」「『ZEB』化による補助金や防災拠点としての補助金」等をあげているが、はっきりとした見通しがあるわけではない。いざとなれば住民からの公募債でまかなうということなのだろう。しかし、これも借金漬けとなることに変わりはない。

浅間石の壁では暗くなり重い印象になる

「交流の場」は民間業者を圧迫しないか

「過去1年の間に町役場へ何回行きましたか?」というアンケートの質問に、町民の回答は3~5回、別荘民は0回という数字が出ている。しかもこれからは役場へ行かなくてもコンビニやネットで用が足りるということになるので、ますます足を運ぶ回数は減る。

計画案では、盛んに「交流の場をつくる」として、展示やギャラリー、リモートワーク、ミニコンサートなどのスペース活用をあげている。しかし、テレワーク協議会の働きかけによってコワーキングスペースは町中に点在しているし、ミニコンサートも「くつかけテラス」はじめカフェなどでも開催している。展示などはこれから計画する複合施設(中央公民館等)で十分可能だ。既に民間で行っていることばかりなので、今さら行政が民間と競合することをやる必要はないのではないか。人を呼び込むためにあれもこれもくっつけるのではなく、本当に必要とするものだけを選び、無駄なコストは削減する工夫も必要だ。

(ZEBとは=Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。)

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