新庁舎・複合施設に太陽光パネルは必要か

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町長選の争点に

人口2万人の町の庁舎・複合施設の建設費が総額110億円と聞くと、誰しもが驚く。

町役場へ行く回数は、町民で平均年2、3回。別荘住民は0回というアンケート結果が示されている。

最初の予定金額より大幅に事業費が上がった原因は、太陽光パネル設置12億円と地下駐車場建設10億円が加わったことによる。その後、地下駐車場は取りやめになったが、太陽光パネルの設置はそのまま進む予定だ。しかし、これには幾つかの問題点があるため、町長選の争点にもなりかねない。

浅間山噴火による被害を想定しているか

2016年に熊本県の阿蘇山が噴火した際、火山灰や噴石が広範囲に降り、阿蘇市のメガソーラーに噴石が達し、太陽光パネル1636枚が破損した。「火山の噴火による損害は補償の対象外」のため保険は効かず、被害額は1億円。

灰に覆われたこともあり、発電量は通常の半分以下になった。一般的には「火口から4㎞離れていればだいじょうぶ」と言われていたが、この場合は6㎞離れていた。

マスターアーキテクトは反対だった

庁舎設計のコンペで評判の良かった作品が1位でなく2位になったのは、マスターアーキテクトの團紀彦氏が浅間山噴火を想定し、太陽光パネルプランを避けたのが理由だった。それで山下設計の作品が選ばれたという事情がある。にもかかわらず、ソーラーパネルを設置するというのでは矛盾していることになる。また、2位になった設計会社の立場は?

南傾斜の大きな屋根に黒いパネルが一面に敷かれることになり、南側近隣の建物への反射・熱射の可能性もある。国道から見た場合の景観上も良いとは言えないだろう。

太陽光パネル設置による費用対効果は?

ソーラーパネルの寿命は10年~13年。12億円の元を取ることは不可能。その前に使えなくなる。軽井沢のような寒冷地ではパネルが凍り、冬はほとんど発電しなくなり結局、電気に頼ることになるということを知らないのではないか。

冬期間が長い軽井沢での太陽光発電は、他地域に比べて効率が悪い。町民の税金を使う以上は費用対効果を考えなければならないはずだ。

太陽光パネル設置をしたい町役場、町会議員の狙いは何か。

それには理由が幾つかある。

  • 早い時期に再生エネルギー可能な町宣言を行っている。②「2050年にゼロカーボンシティを目指す」ことを表明し、環境大臣からもらった感謝状らしきものが役場に飾られている。⓷G20で環境大臣閣僚会議が軽井沢で行われたこともあり、急に環境条例や環境計画の取り組み、地球環境を考える姿勢を見せている。④安中市では50億円のうち、合併特例として30億円の補助が出るが、軽井沢は一切の補助金なし。それで急遽ソーラーパネルを付けて補助金を出してもらおうと考えている。
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