グレーな問題がさらに浮上。信大・社会基盤研究所の『寄付講座』

軽井沢町と信大・東大連携の「寄付講座」に基づく2億5千万円の使い道について、3月3日に報告会が行われ、それに参加した住民が不信感をいだいて調査を行った。その結果、町民の税金が正しく使用されたとは言えないとして、住民監査請求書を3月13日に提出。4月3日に意見陳述が行われた。

前回に引き続き、今回も軽井沢NOWメンバーの3人がこの問題について語ります。

目次

2億5千万円の使い道は正しいか?住民が監査請求書を提出

S(佐藤) 住民監査請求書が3月13日に提出され4月3日に意見陳述が行われました。その内容が軽井沢新聞4月号トップ記事で報道されていますね。

M(森) 読みました。報告会の会場でも、ドラム式洗濯機や4kテレビ、ルンバなどの家電製品や人工芝やその他設備費に使っていたことが問題になりました。驚いたのはイギリスなどの海外旅行、熱海などの国内旅行でした。それについて広川さんが質問したことに返答はあったんですか?

H(広川) 使途不明金に関しての詳しい回答はありませんでした。玉〇教授が「そんなルンバだの洗濯機だなんて」と鼻先で笑っていただけですね。

S 以前の新聞記事にもコタツやドラム式洗濯機、浴室サンダルなど書いてありましたが、それって事務所に必要?と思いますよね。なぜ、きちんと答えないのでしょうか

H 答えないというより答えられない理由があったかもしれません。

S 記事中の②の旅費については成果や目的がはっきりしないということで、監査請求の対象として挙げられています。(軽井沢新聞4月号の監査請求の記事参照)

M 報告会で熱海の旅行について丸〇教授は「みんなで行った研修旅行だ」と言っていましたが、そう言ったことによって、むしろ「コロナ禍の年末にどこの学会が研修旅行する?」と疑問が大きくなりましたよね。

文科省からも多額の補助金を得ていた。しかし評価は最下位

(写真は恵シャレ―全景。右の建物がカフェ「ウッドシェッド」だった建物)

S 信大が恵シャレ―の建物を購入するために不動産鑑定料や仲介手数料として使ったということが挙げられているけど、これは何でしょう。

H 仲介手数料ということは不動産を買ったということですね。信州大学の学生向けに行った「ライフクリエーター人材養成コース」のために建物を買ったということのようですね。

S この建物に関しての設備費が、記事の中の「①寄付講座の研究活動とは直接関連がない住宅関連の支出」という部分です。

M 「ライフクリエーター人材養成コース」って何ですか?軽井沢の寄付講座と関係あるのでしょうか?

S 私もこれは何だろうと思ってネットで調べてみました。それで意外なことがわかりました。文科省が「知的集約型社会を支える人材育成事業」として募集し、信州大学の他、金沢大学、新潟大学、大正大学、東京都市大学、麻布大学の6つの大学が認定を受けています。各大学で考えたプログラムも出てきます。

H 私もネットで調べましたよ。意外とすぐ検索できます。これで信州大学が文科省からも多額な補助金を受けていたことを知りました。令和2年から4年で合計1億2千883万円という高額な数字が出ています。

M 軽井沢町から2億5千万円、文科省から1億2千万円、合計3億7千万円という金額は驚きですね。有効に活用されたのでしょうか?

S 調べてみたら文科省のサイトにひどい結果が出ていたので驚きました。文科省は資金を出すだけでなく、調査をして結果を中間発表しています。これもネットで簡単に調べられます。(図表参照)6つの大学のうち、信州大学の評価が最下位でした。

(文科省が発表している評価)


M これですね。他の大学はSかAなのに、信州大学だけBだったんですね。なぜですか?

S 文科省は現地調査や、学生に面接して詳しく調査を行ったそうです。その結果がB評価、「計画を下回る取り組みである」と判断されました。

H 国の税金、それに軽井沢からのお金も使うわけですから、期待に応えるようにやってもらわないと困りますね。

M このライフクリエーター人材養成コースに軽井沢町の「寄付講座」のお金を使ったというのは理解できませんね。信州大学の学生対象なのになぜなのでしょう。軽井沢の医療と関係ないじゃありませんか。

S 軽井沢町にライフクリエーター人材養成コースを中心とした拠点がほしかったようです。それで恵シャレ―の敷地にある「ウッドシェッド」というカフェだった建物を購入したわけです。

M 藤巻町長はそれを認めたんでしょうか?

H もちろん、承知していたと思います。当時、議員からも「恵シャレ―の跡地に信大がくるようだ」という話が聞かれました。しかし、購入したものの、結局手放しています。その辺のいきさつはよくわかりませんが、恵シャレ―を運営する会社に取材したときは「買ったのは信州大学ではなく、丸〇ゼミです」と担当者が答えていました。ゼミということではなく社会基盤研究所ということなのかなと思います。地方の国立大学が高いお金を出して軽井沢の最高級の別荘地を買う必要はありませんよ。

M 確かに、身分不相応。というか、土地代にかけるよりもっと大学として価値のあることに使う方がいい。

H 今回の問題で一番良くないのは、藤巻前町長が社会基盤研究所に寄付講座の使途金の報告を求めなかったことです。税金である以上、「研究費だから好きに使って報告しなくていい」なんてあり得ませんよ。疑問をぶつけない議員もいけない。

S そうですね。今回の監査請求では、当時の町長や支出手続きに関わった担当職員、旅費を使った者、不当な利益を受けた者に対して支出額の返還や措置を求めています。

M あのウッドシェッドで授業をやったのでしょうか? 旧軽の友人は「片づけていた時、ワインの瓶がゴロゴロ出てきたからパーティーでもやっていたのかな」と思ったそうです。

(写真は、クリスマスイルミネーションの季節に多くの人が訪れたカフェ「ウッドシェッド」)

謎の「軽井沢先端学術センター」、信大特任教授と同姓同名の名前が

M 新聞記事の中の③に利益相反と書いてありますが、どんなことが考えられるのでしょうか?

S 「軽井沢先端学術センター」という名称は初めて知りました。新聞の記事によれば、「軽井沢先端学術センターへのチラシ印刷代などの支払いについて、利益相反行為としている」となっています。このセンターは当初の1年間は信大の社会基盤研究所の住所になっていて、その後、住所が変わって、社会基盤研究所の特任教授と同じ名前の人が所有する建物の住所に登記されています。しかもこのセンターの理事長や理事には、社会基盤研究所の特任教授と同姓同名の人が何人も出てきたといいますから驚きますね。利益相反行為は、発注元と発注先の双方の役員を同一人物が務めている取引が該当する場合があるということです。

M 同姓同名?まったく同じ名前の人が何人も出てくるってどういうこと。

S 別人がそんな何人もいるとは思えませんね。

H ということは、軽井沢町が出している2億5千万円の中から印刷費やら何やら使ったお金が、自分たちが運営している「軽井沢先端学術センター」に支払われていたという疑いがあることですか?

S 今はまだ、「疑いがある」ということですが、問題が何となく浮き彫りになってきましたね。

H 信州大学でも臨時調査を開始したそうですから、問題点ははっきりしてくると思います。

M 大学自体がわからなかったというのも、おかしなことだと思うわ。これが事実だったら、多くの町民は納得できないでしょうね。

H ここでは、監査請求の記事やネットなどで調べた中から紹介しています。いずれにしても、今は監査中。大学も調査中なので、しばらく様子を見守りたいと思いますが、また新しい事実が出てきたらお伝えしたいと思います。

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