旧軽井沢銀座通りのつるや旅館前、ワタベウエディング跡地に計画するホテルの説明会が2月9日と16日に行われた。建築主である東急不動産、設計者の企画社が出席。運営するカトープレジャーはまだ契約をしていないという理由で出席はなかった。これで説明会は5回行われてきたが・・・
住民からの要望は聞き入れず、4階建に見えるビルは変わらず
近隣住民向けの2月9日の説明会では東急が変更点を説明。住民側からは様々な質問や意見があげられた。
東急は変更について、建築面積を63.51㎡(約19坪)減少し、客室を5室減らして緑地面積を622㎡(約188坪)増やしたと説明した。しかし、緑地は駐車場にグリーンブロックを敷いた面積が大きいが、車が並べば緑ではなく車の金属色になると住民から指摘された。
近隣住民が9月に送った要望書について回答がないので、その場で確認を行った。
・建物の高さを2階建てにしてほしい→(東急の回答)少しセットバックしたが地下1階、3階建のビルは変わらず。
・周囲の雰囲気に合わせた軽井沢らしい外観にしてほしい→(回答)外観のデザインは変化なし。
・歴史ある庭園を残してほしい→(回答)小川周囲を残すだけで樹木は多く伐採し、ほとんどが建物になる。
・土曜日の工事は止めてほしい→(回答)工期が遅れるので土曜日も工事する。
このように住民からの要望を受け入れる姿勢はなかった。
住民と東急の質疑応答では
【東急の説明】
・この土地を軽井沢のためにどのように使ったらよいかを考えた。人を呼び込み、年間を通して盛り上げることがよいのではないかと考え、ホテルの建設とした。ホテルが長く続いていくことを十分考えた上で設計している。
【住民の意見】
・呼び込まなくて結構。盛り上げなくて結構。軽井沢は十分すぎる観光客が来てオーバーツーリズムになっている。観光協会も「800万人は多すぎる。これからは客の質を高めていく」と言っている。
・『軽井沢まちなみメソッド宣言』には『軽井沢の自然・景観は人々によって支えられて来た。町民、来訪者、事業者らによって守られ、これからも育まれていくものである。事業者、設計者には適切、かつ慎重な対応を求めます』と書いてある。これを知っているか」
【東急側】
・知っている。国が決めた建築基準法もあり、さらにそれより厳しい軽井沢自然保護対策要綱に則って設計している。すべて守っている。外観のデザインや色などはまだ確定ではないので、皆さんの意見を伺って考えることもできる。
長野県認定の景観育成住民協定を結んだ「旧軽井沢の歴史と景観を守る会」会長であり、建築家でもある谷村秀彦筑波大学名誉教授は
「説明会を何回行っても結局何も変わっていない。根本的にはホテルの利益をあげることを第一に考えた上での変更だから変わるわけがない。『外観の色やデザインはこれから皆さんの意向を聞いて変えることもできる』なんて言うが、だれが設計しているのか。建築というものはこれだけ設計が細かくできていたら外観のデザインだって決まっているはず。変更なんかできないし、する気はないのだろう。」
そして、最後にきっぱりと言った。
「軽井沢らしいものをと、みんなが何回も言っている。大事なことはそこなんですよ。軽井沢のことを考えるというなら、みんなが『これは素晴らしい!』と思うものを造りなさいよ」